2025年12月3日未明、金融業界を揺るがすニュースが飛び込んできた。

トランプ氏が再び口火を切った。今回の標的もやはり旧敵——現職FRB（米連邦準備制度理事会）議長のパウエル氏だ。だが今回は批判だけでなく、後任候補まで公表した。それがケビン・ハセット氏だ。

ハセット氏とは何者か？トランプ政権時代のホワイトハウス経済諮問委員会（CEA）議長で、まさに“身内”と言える人物だ。このタイミングで名指しするのは、意図がはっきりしている。もし自分が再び大統領になれば、FRB議長の座も入れ替える——そう宣言したに等しい。

トランプ氏とパウエル氏の確執は今に始まったことではない。パウエル氏がインフレ抑制のために相次ぐ利上げを断行して以降、トランプ氏はずっと批判をやめなかった。彼にとって高金利は経済の敵——成長を鈍化させ、競争力を削ぐ元凶なのだ。今回も主張は一貫している。「利下げ、今すぐやるべきだ。」

これは米国内だけの争いではない。FRBの一挙手一投足は、世界の金融市場全体に影響する。特に暗号資産市場にとって、金融政策の緩和や引き締めは流動性やリスク選好を左右する鍵となる。人事の波乱と利下げ期待が重なる中、市場がどう動くかは誰にも読めない。

現時点でホワイトハウスもFRBも公式なコメントはしていない。ただ一つ確かなのは、FRBの独立性を巡る綱引きは、始まったばかりだということだ。投資家たちは固唾を呑んで見守っている。2025年の政治カレンダーの上で、このドラマはまだまだ続く。