イーサリアムは3000ドルの壁を守る、なぜビットコインは高値圏で揺れるのか？最新の市場動向分析

イーサリアムは12月17日時点で約2,956.07ドルを付け、24時間で0.88%小幅上昇しました。一時的に一部の下落を取り戻したものの、依然として重要なサポートラインである3000ドル付近を堅守するのは困難な状況です。取引中には最低値として2,899.69ドルを記録しました。

ビットコインは87,000ドルの節目で上下に揺れ、当日の価格は87,310ドルから87,885ドルの間で推移しました。テクニカルアナリストは、もしビットコインが現在の勢いを維持できれば、90,000ドルに向かう可能性があり、サポートラインは徐々に86,000ドル付近へ上昇すると指摘しています。

01 市場現状：イーサリアムとビットコインの分化状況

暗号資産市場は12月17日に明確な分化を見せました。ビットコインとイーサリアムは市場の二大リーダーとして、微妙な動きの差異を示しています。

ビットコインは85,400ドルから堅調に回復し、約87,800ドルまで上昇しましたが、87,000ドルの節目では明確な抵抗に遭遇しています。この横ばいの動きは、重要なデータ発表前の慎重な市場心理を反映しています。

一方、イーサリアムのパフォーマンスはより脆弱で、一時的に3000ドルの心理的抵抗を下回りました。12月17日時点でイーサリアムの価格は既に3000ドルを割り込みました。この差異は、両資産が直面する市場の圧力の違いを示しています。

その他の主要暗号資産も異なる動きを見せており、カルダノは0.98%上昇、ソラナは2.33%上昇、XRPは3.38%上昇、BNBは1.42%上昇しています。市場は全面的な下落ではなく、構造的な調整局面にあります。

02 イーサリアムの苦境：テクニカルとファンダメンタルの二重試練

テクニカル分析の観点から見ると、イーサリアムは現在、重要な転換点にあります。価格は3,120ドルを割った後、さらに下落し、3,026ドルの安値をつけました。

重要な抵抗ラインは3,150ドルから3,200ドルの範囲に集中しています。具体的には、まず3,150ドル付近の抵抗に直面し、この水準は3,273ドルから3,026ドルへのフィボナッチ50%リトレースメントと重なっています。次に、3,180ドル付近と3,175ドル付近の下降トレンドラインも抵抗となっています。

本当の「反転シグナル」は、イーサリアムが明確に3,200ドルを突破することです。これが実現すれば、イーサリアムは「反発修復」から「トレンドの回復」へと転じ、上昇目標は3,250ドルまで見込めます。

一方、下落リスクも無視できません。イーサリアムが3,200ドルを再び超えられなかった場合、最初のサポートは3,080ドル付近となり、主要なサポートは3,050ドルです。3,050ドルを明確に割り込むと、イーサリアムは直接3,020ドルや重要な3,000ドルの心理的節目をテストすることになります。

オンチェーンデータはより深刻な問題を示しています。ネットワークのアクティブアドレス数は2025年5月以来の最低水準に落ち込みました。過去1ヶ月で長期保有者は84万7,000以上のイーサリアムを売却し、その価値は約25億ドルに達しています。

03 ビットコインの動き：マクロ経済と市場心理の攻防

12月17日のビットコインの横ばいは、市場がマクロ経済データに対して敏感に反応していることを示しています。米国の雇用データは複雑なシグナルを発しており、一方では求人活動が堅調な一方、失業率は予想を上回っています。

この矛盾したデータは、市場の買い手と売り手の間に攻防を生んでいます。不確実性がある中、ビットコインの取引所保有残高は史上最低水準にあり、これが価格の上昇を支える要因となり、買い手優勢の状況を作り出しています。

市場の焦点は、間もなく発表されるCPIデータに移っています。これが米連邦準備制度の利下げ予想に影響を与えるためです。FRBの金利決定は、世界の流動性に直接影響し、それが暗号資産市場にも波及します。

注目すべきは、最近のビットコインの下落は主に買い戻し（ロングの決済）によるものと考えられます。投資家はリスク管理や段階的なポジション構築から利益を得ており、短期的な値動きに対して感情的に反応しているわけではありません。

売却は、世界的なリスクシフトの一環とも見られます。次期米連邦準備制度議長の不確実性や米国の財政圧力の高まり、消費者需要の鈍化の兆候が投資家の心理に圧力をかけています。

04 オンチェーンデータの洞察：イーサリアムの懸念とチャンス

オンチェーンデータから見ると、イーサリアムはネットワーク活動の減少に直面しています。過去30日間のネットワーク手数料は45%急落しました。日次アクティブアドレス数は、年初の約48.3万から約32.7万に減少しています。

デリバティブ市場も慎重なムードを示しており、先物のプレミアムはわずか3%に縮小しています。これはレバレッジの買いポジション需要が完全に欠如していることを意味します。

イーサリアムは、現実世界の資産トークン化分野での支配的地位が、その長期的価値の重要な支えとなっています。イーサリアムは119億ドルの非ステーブルコイン資産を担保しており、市場シェアは65.9%を占めています。

MVRV Zスコアは、イーサリアムの相対的公正価値を評価する重要な指標です。12月3日のFusakaアップグレード後、イーサリアムの取引価格は約3,189ドル、MVRV Zスコアは0.47です。この数値は、価格が著しく高い水準にあっても、イーサリアムは依然として割安と見なせることを示しています。

05 機関の動向：伝統金融と暗号巨鯨の分裂

機関投資家の動きは複雑な状況を示しています。BitMineは過去1週間で102,259枚のイーサリアムを新たに取得し、保有総数は3,967,210枚に達し、資産総額は132億ドルにのぼります。

大口資金はBTC/ETHのローテーションを積極的に行っており、ビットコイン約2,000枚をイーサリアム58,000枚以上に交換しています。これは、機関投資家がイーサリアムの中期展望に対して戦略的に強気であることを示しています。

伝統的な金融大手もイーサリアムエコシステムへの投資を加速させています。JPモルガンは、イーサリアム上に最初のトークン化されたマネーマーケットファンドを立ち上げ、初期投資として1億ドルの内部資金を投入することを発表しました。これは、世界の主要金融機関がデジタル資産事業のためにイーサリアムメインネットへの移行を加速させている証拠です。

取引所が保有するイーサリアムの供給比率は8.7%に低下し、2015年以来の最低水準を記録しています。大量のETHはステーキングや再ステーキング、機関レベルのデジタル資産備蓄に移行しています。

06 市場展望：短期の変動と長期のトレンドのバランス

短期的には、市場はマクロ要因とテクニカルの両面から引き続き影響を受ける可能性があります。アナリストは、ビットコインが現在の勢いを維持できれば、90,000ドルに向かうと予測しています。

イーサリアムについては、3,000ドルの心理的節目を守れるかどうかが重要です。これを割り込めば、2,940ドル付近まで下落する可能性があります。

オプション市場には長期的な楽観シグナルも見られます。アナリストは、2026年1月満期の行使価格8,000ドルのコールオプションの取引量が急増しており、24時間で10,700枚以上の契約が取引されたことに注目しています。この深くアウト・オブ・ザ-moneyのオプションの活発な取引は、一部の市場参加者がイーサリアムの長期展望に楽観的であることを示しています。

ファンダメンタルズの観点からは、現物ETFが規制資金をイーサリアムに導入し続けることや、デジタル資産ファンド企業がイーサリアムの供給を積み増すことで、市場の流通量が徐々に絞られ、価格の边際需要に対する感度が高まっています。

長期的には、多くのアナリストがイーサリアムの展望を楽観視しています。12人の主要アナリストのコンセンサスデータによると、2025年末のイーサリアムの平均目標価格は6,124ドルであり、現状から約107%の上昇余地があります。

今後の展望

暗号市場全体の分化はさらに進む見込みです。ビットコインは87,000ドルの節目で堅調さを見せる一方、イーサリアムは3,000ドル付近で苦戦しています。デリバティブ市場のデータによると、イーサリアムが3,000ドルを割り込むと、主要取引所のロングポジションの清算額は8億6,500万ドルに達する見込みです。

長期保有者はポジションの再調整を進めており、JPモルガンなどの伝統的金融機関は引き続きイーサリアムをトークン化戦略の中核インフラと位置付けています。取引所のイーサリアム供給比率は2015年以来の最低水準の8.7%にまで低下しています。

次の方向性は、イーサリアムが3,000ドルの底固めをできるか、そしてビットコインが90,000ドルの抵抗を突破できるかにかかっています。