米国株式委託手数料はどれだけひどいのか?口座開設、費用、証券会社の選び方のポイントを解説

多くの海外投資を始めたい人は、最初に「複委託」という言葉を耳にすることが多いです。しかし、複委託とは何か、費用は高すぎないか、どう選べばお得かといった疑問は、新手にはなかなか理解しづらいものです。盲目的に口座を開設するよりも、まず基本的な知識をしっかり身につけることが大切です。

複委託は一体何をしているのか?仕組みは実はそんなに複雑じゃない

受託外国有価証券売買業務——これが複委託の正式名称です。聞き慣れないかもしれませんが、要は台湾の証券会社があなたの代わりに海外取引を行う仕組みです。

具体的には、取引の流れはこうです:あなたが国内証券会社で注文 → 証券会社が海外の提携証券会社に注文を転送 → 海外の証券取引所で直接取引 → 結果をあなたに返す。注文は仲介者を経由するため、「複委託」と呼ばれ、英語ではSub-brokerageといいます。

なぜこんな面倒なことをするのか? 直接海外口座を開くと、外貨、税務、口座管理など多くの面倒が伴います。複委託のメリットは、あなたは台湾ドルで決済し、配当金も自動的に送金され、税務処理も代行してもらえる点です。魅力的に思えるでしょう?

複委託を通じて、米国、日本、香港、中国などの市場の株式、ETF、海外債券に投資できます。特に、米国株のETFを複委託で買うのは、台湾人にとって最も一般的な海外投資方法です。

複委託 vs 海外証券会社:どちらがお得?

多くの人が迷うポイントです。簡単に比較してみましょう。

口座開設のハードル: 海外証券会社はオンラインで直接開設可能ですが、複委託は証券会社の窓口に行くか、公式サイトで資料を記入します。

手数料: 海外証券会社の単一取引手数料は約0.1%以下です。複委託は0.1%から1%程度で、最低手数料(通常25ドルから50ドル)が設定されています。最近、国泰証券は最低手数料の廃止を進めており、少し安くなっています。

決済方法: 海外証券会社は米ドルや他の外貨で決済しますが、複委託は直接台湾ドルで決済可能です。便利に見えますが、為替レートの変動リスクや為替差益も考慮する必要があります。

取引可能な商品: 海外証券会社は株式、社債、先物、デリバティブなど多彩に取引できます。一方、複委託は現物株、ETF、債券に限定されることが多いです。

取引方法: 海外証券会社は成行注文や条件付き注文、信用取引や空売りもサポートします。複委託は指値注文のみ可能で、信用取引は禁止です。

中国語サポート: どちらもありますが、複委託は専任のサポート担当者がつき、コミュニケーションがスムーズです。

正直なところ: 初心者で頻繁に取引しない場合は、複委託の方が手間が少なくて済みます。取引頻度や金額が増えるにつれて、海外証券会社のコストメリットが出てきます。

複委託の手数料はどれくらい高い?詳細を知らないと損する

複委託は便利そうに見えますが、コストは避けて通れません。主な費用は3つです。

第一:国内証券会社の委託手数料

最も一般的なのは取引金額の0.1%から1%です。最低手数料も設定されています。米国株は比較的安く、大陸株や香港株は高めで、1%から2%に達することもあります。

例:1万ドルの米国株を買う場合、手数料が0.5%なら50ドルです。ただし、最低手数料が35ドルの場合は、先に35ドルを支払います。5,000ドルの取引なら25ドルですが、最低手数料は35ドルなので、結局35ドルかかることになります。少額投資だと割高になるわけです。

第二:海外取引所の取引手数料とTAF(取引活動費)

米国証券取引委員会(SEC)は株式売却に対して0.00278%の手数料を課しています。取引所も買いと売りでそれぞれ0.00565%、取引手数料も0.0027%程度です。売却時には、1株あたり0.000119ドルのTAFがかかり、上限は5.95ドルです。

これらは微小な金額ですが、頻繁に取引すると積み重なります。

第三:税金と為替手数料

配当には30%の所得税がかかります。原則、税金還付申請も可能ですが、手続きが面倒なため、多くの人は放置しています。海外所得は、基本所得額が670万台湾ドルを超えた場合に課税対象となります。基本税額は、(基本所得額 – 670万) × 20%です。

跨国の送金手数料は銀行によって異なり、台新銀行は無料ですが、他行は規定があります。

複委託の取引ルールを理解しよう

  1. 指値注文のみ — 成行注文は不可。事前に価格を設定しなければなりません。これにより、約定することもあれば、最終的に成立しないこともあります。

  2. 口座に資金を預ける必要がある — 十分な資金を入れておかないと取引できません。為替変動に備え、預託金は実際の取引額より多めにしておくことが一般的です。約定後に差額が返還されます。

  3. 信用取引や空売りは不可 — 複委託は完全に禁止です。多くの証券会社は日計り取引(当日取引)を許可していますが、制限もあります。

  4. 時間ルール — 複委託は平日取引可能ですが、銀行の外貨取引休業日は取引できません。米国株の取引時間は米国時間の09:30〜16:00で、夏時間は台湾時間の21:30〜翌4:00、冬時間は22:30〜翌5:00です。

  5. 為替差は存在する — 複委託は証券会社が固定レートで決済するため、為替差益が発生します。これも隠れたコストです。

  6. 資金の入金は遅い — 米国株の買付はT+1、売却後はT+3に入金されます。市場の決済日はT+2です。売却後の出金には時間がかかります。

米国株複委託口座を開設するには何が必要?

必要なものは2つです:国内証券会社の複委託口座 + 外貨口座

準備資料:

  • 身分証明書(身分証、パスポート、居留証などの原本)
  • 補助証明書(健康保険カード、運転免許証など)
  • 印章(窓口申請時に必要)
  • 銀行口座のコピー

開設手順:

国内の証券会社支店にて窓口で契約、または公式ウェブサイトから申請します。手続き中に証券会社に証券コードを伝え、決済通貨(台湾ドルまたは米ドル)を選択し、契約書にサインすれば完了です。開設には18歳以上の本国の自然人である必要があります。

口座開設後、資金を複委託の決済口座に振り込み、取引開始です。株式と資金は証券会社が管理し、あなたは所有権を持ちます。名義は証券会社ですが、法的には問題ありません。

台湾の複委託証券会社の費用比較

代表的な複委託証券会社は、富邦、元大、国泰、永豐、凱基などです。電子取引の例:

証券会社 手数料 最低消費 QI資格
国泰 0.10% なし あり
玉山 0.40% 35ドル なし
台新 0.50% 35ドル なし
元富 0.50% 35ドル あり
中信 0.50% 35ドル あり
富邦 0.5〜1% 25ドル あり
元大 0.5〜1% 35ドル あり
永豐 0.5〜1% 35ドル あり
凱基 0.5〜1% 39.9ドル あり
統一 0.5〜1% 39.9ドル なし

正直に言うと、差はあまりなく、交渉次第で割引も可能です。 しかし、海外証券会社と比べるとやや高めです。現在、国泰証券は改革により最低手数料を廃止し、最も安価な選択肢となっています。

実際のコストは国内証券会社の手数料 + 海外取引所の手数料から成り立ちます。米国株は最低コストですが、中国大陸や香港株は1%〜2%に達することもあります。

米国株複委託は誰に向いている?

向いている人:

  • 取引頻度が少なく、月に数回程度
  • 投資対象が限定的で、主に米国株ETFを買いたい
  • 長期保有を志向し、頻繁に売買したくない
  • 台湾ドルで決済したい、外貨管理を避けたい

向いていない人:

  • 高頻度取引を行う人(コストが利益を圧迫)
  • 信用取引や空売り、先物取引などの高度な機能を必要とする人
  • 最低コストを追求する人

他に米国株に投資する方法はある?

1. 海外証券会社の口座を直接開設

米国本土の証券会社(例:Firsttrade)を通じて、米国株、先物、オプション、ETF、米国債を直接取引。手数料無料のものもあり、コストは非常に低いです。ただし、英語インターフェースが多く、開設ハードルが高いため、初心者には難しい場合も。

2. 米国株CFD取引

先物に似たもので、米国株を対象にしたCFD(差金決済取引)です。双方向売買、レバレッジ、空売りも可能で、少額から口座開設できます。手数料は0.01%程度、取引手数料は無料で、スプレッドと夜間手数料だけです。頻繁に取引し、レバレッジを使いたい投資家に適しています。

結論

複委託は、初心者や取引頻度が少なく、手間を省きたい投資家に向いていますが、コストは高めです。 今後取引が増える場合は、海外証券会社や米国株CFDに切り替える選択肢もあります。それぞれに長所短所があり、相互に補完しながら投資を進めるのが良いでしょう。

用語の豆知識:

  • ETF(上場投資信託):複数の株式をまとめて指数に連動させる投資信託。例えば、テクノロジー大手を追跡するETFは、定期的に構成銘柄の比重を調整し、指数に連動します。
  • 手(て):取引単位。香港株は銘柄によって少なくとも200株、多いと数万株まであります。大陸株は1手=100株。米国株は1株単位です。
  • 在途款(ざいとかん):売却済みだがまだ決済されていない資金。これを使って同じ市場・通貨の他の証券を買うことも可能ですが、出金には実際の決済完了まで待つ必要があります。
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