金融市場で稼ぐことに関して、多くの議論が指摘している現象があります。それは、複利が神話のように吹聴されている一方で、実際には多くの人がそれで稼げていないということです。これらの見解は確かに核心を突いていますが、もう一歩深く掘り下げる必要があります。

私たちは残酷な事実に直面しなければなりません。ゼロサムゲームの取引の世界では、真の勝者はあの販売員が描く滑らかな曲線に頼って稼いでいるわけではありません。同じツール——複利——を使っていますが、その使い方は全く異なるのです。

なぜ使い方が違うのか？それは、理論モデルと現実の市場は根本的に異なるからです。教科書に出てくる複利の曲線は、滑らかに上昇する指数成長を示していますが、それは理想的な状況下でのみ成立します。現実はどうか？変動、リトレースメント、不確実性が山のように存在します。

実際の数字を例にとってみましょう。仮に100万円の元本を持って取引に臨むとします：
- 1年目に50%の利益を得て、口座は150万円に
- 2年目に30%の損失を出し、残りは105万円に
- 3年目に40%の利益を出し、147万円に
- 4年目に40%の損失を出し、最後に88.2万円に

4年後、複利の効果はあなたの資産を増やすどころか、むしろあなたの財布の中のお金を市場の対戦相手の口座に直接移してしまいます。これが、多くのトレーダーの現実の姿です。問題は複利そのものにあるのではなく、あなたが金融市場における利益の流れの論理を根本的に理解していないことにあります。