ブラックスワンの突然の出現に注意！Jeff Park：「ビットコインが主権国家に採用されれば15万ドルに急騰」

ProCapのチーフ・インベストメント・オフィサー（CIO）であるJeff Parkは、ビットコインの上昇をもたらすブラックスワン（黒天鵝）イベントは主権国家による採用だと述べています。Parkは、もし主要な先進市場経済協力開発機構（OECD）加盟国が突然、自国のバランスシートにビットコインを購入することを発表し、実際にそれを実行した場合、その発表によってビットコイン価格は一夜にして約15万ドルまで押し上げられる可能性があると指摘しています。

なぜ主権国家によるビットコイン採用が究極のカタリストなのか

（出典：Anthony Pompliano）

Jeff Parkは、主権国家によるビットコイン採用を「ブラックスワンイベント」と呼んでいます。この用語は金融分野で、極めて発生確率が低いものの、発生した場合の影響が甚大な出来事を指します。彼のロジックは次の通りです。もし主要な先進市場やOECD加盟国が突然、自国資産のバランスシートにビットコインを組み入れると発表し、実際に購入した場合、これはビットコインの位置づけを根本的に変えるものとなる——投機的資産から主権レベルの準備資産へと格上げされるのです。

この転換がもたらす影響は多層的です。まず、主権国家による承認は、ビットコイン最大の投資障壁である「正当性への疑念」を打ち消すことになります。現在、多くの機関投資家や保守的な投資家は、政府の支援がないことや規制リスクを懸念してビットコインに懐疑的です。しかし、OECD加盟国が正式にビットコインを国家準備に組み入れれば、その不安は一気に払拭され、機関投資マネー流入の門戸が開かれます。

次に、主権国家の採用は連鎖反応を引き起こします。最初の国がこの決定を下すと、他国は「ナッシュ均衡のジレンマ」に直面します。つまり、追随しなければビットコイン価値上昇による資産増加の機会を逃すかもしれず、追随すればさらに価格が上昇して後から買うほどコストが高くなる。このゲーム理論的な構図は、「主権国家による採用競争」を生み出し、複数の国が先駆けてビットコインを購入しようと争う事態をもたらしかねません。

第三に、主権国家の採用は膨大かつ持続的な需要を生み出します。国家準備の規模は通常、数百億〜数千億ドル単位です。中規模のOECD加盟国が外貨準備の1％をビットコインに配分するだけでも、数十億ドル規模の買い注文になります。さらに重要なのは、こうした買いは長期保有目的であり、投機資金のように頻繁な出入りはありません。これにより、ビットコイン市場の供給量は大幅に減少します。

主権国家採用がもたらす四重効果

正当性革命：投機資産から主権準備資産への格上げで機関投資障壁を解消

連鎖反応：他国の追随を促し、「主権国家による採用競争」を形成

巨額需要：国家レベルの買い需要は数十億ドル規模かつ長期保有型

供給ショック：主権国家は売却しないため、市場流通量が大幅に減少

マーケティングや噂ではなく「本物」でなければならない

Parkは、これは真実でなければならず、マーケティング上の仕掛けでも噂でも、政府高官の発言の誤読でもあってはならないと特に強調します。「それは本物でなければならない」と彼は述べています。「私たちが過去1年ほど経験してきたような偽のバージョンであってはならない。」この警告は非常に的を射ています。

過去1年間、暗号資産市場は「某国がまもなくビットコインを採用する」という噂にあふれてきました。これらの情報は多くの場合、政府高官の曖昧な発言や、誇張された政策文書の解釈が発端です。こうした情報が流れるたびにビットコイン価格は一時的に上昇しますが、誤報や誤読と判明するとすぐに反落します。この「盛り上がり→失望」のサイクルは、市場に免疫を生んでいます。

Parkが言う「真の採用」にはいくつかの条件があります。第一に、公式な発表でなければならず、メディアの憶測や匿名情報源ではいけません。第二に、購入規模・スケジュール・資金源など、具体的な実行計画が必要です。第三に、国家のバランスシートに正式に記載されなければならず、政府年金基金や国有企業の個別投資のみでは不十分です。これらの条件を満たして初めて「主権国家による採用」と呼べます。

Jan3創業者のSamson Mowは最近、国家レベルの採用は人々が予想するより早く起こるかもしれないと述べています。「私は、私たちが『徐々に』の終わりに達し、『突然に』の始まりに入っていると思う」とMowは語ります。この見解はParkの分析と一致し、主権国家の採用はもはや遠い未来の話ではなく、現実味を増していることを示唆しています。

どの国が先行しそうか？小規模で財政運用の柔軟性が高い国が最有力です。エルサルバドルは2021年にすでにビットコインを法定通貨に指定し、実行面では限定的ながら先例を作りました。中央アフリカ共和国も一時採用しましたが、その後撤回。今後有力な候補国としては、深刻なインフレに直面するアルゼンチン、通貨体制が崩壊しているレバノン、金融的独立を模索する一部の東欧諸国などが挙げられます。

量子コンピューティングの不確実性がクジラ売りのカタリストに

Parkはまた、量子コンピューティングについて「何らかの明確な解決策」が短期的にビットコイン価格の動向を後押しするかもしれないとも述べています。「量子が奇妙なモンスターのように話題にされ続けているのは知っている」と語り、この不確実性がビットコイン長期保有者による最近の売却の一因かもしれないことを示唆しています。

「もしクジラが売却しているなら、その理由は彼らが2012年や2011年に買った理由と同じくらい可能性が低いものかもしれない」と述べ、「これらのテールリスク事象を、彼らの行動変化のカタリストとして分類する必要がある」とも語っています。この見方は、最近のクジラ売却行動を理解するための新たな視点を提供します。Glassnodeのデータによると、長期保有者はここ数週間で継続的に売却していますが、Glassnodeはこれを通常の周期的な利益確定売りと分析しています。

しかしParkの解釈はより深いものです。2011年〜2012年にビットコインを購入したクジラたちは、当時は通貨体制への不信、分散型技術への信念、初期イノベーションへの投機などが動機でした。しかし今や、量子コンピューティングの脅威がこうした信念の一部を揺るがす可能性が出てきました。もし量子コンピュータがビットコインの暗号アルゴリズムを本当に解読できるなら、ビットコインシステム自体が崩壊しかねません。このテールリスクは発生確率は極めて低いものの、影響は甚大です。

Parkは「何らかの明確性があれば、少なくとも売り圧力を止める要因にはなる」と述べています。「少なくとも売り圧力を止めることができれば、買い圧力が価格動向により多くの追加資本をもたらすことが分かる」とも語っています。ここでいう「明確性」とは、ビットコイン開発者コミュニティが量子耐性アップグレードで合意することや、量子コンピューティングの専門家が短期的なリスクは低いと権威ある評価を下すことなどが考えられます。

最近、量子コンピューティングとビットコインに対する懸念は高まっています。ゼロ知識証明を専門とするスマートコントラクト研究者Gianluca Di Bellaは、量子コンピューティングによるリスクは遠い将来のものではなく、現在進行形の懸念だと指摘しています。同時に、ビットコイン古参のWilly Wooは「中間的措置」として、ビットコインをSegWit互換アドレスへ移し、量子耐性プロトコルが開発されるまでそこで保管する方法を提案しています。